明日へのラプソディ
暫く振りに会う甲斐くんは髪を少し短くしていて、前よりキリッとして見えた。
まさか…、こんな時に会うなんて。お見合いで緊張していた時と少し違う気がするドキドキに心臓を襲われている。この背もたれを隔てたすぐ後ろに、甲斐くんがいる。そう思うと、すぐにでも振り返りたい気持ちでいっぱいだったが、今は、そんな事は絶対出来ない状況だって事は、パニクってる私にも理解できていた。
「何かドリンクを頼みましょうか。町田さんは何がいいですか?」
「…。あっ、はい。私はコーヒーでお願いします」
「じゃ、僕もコーヒーで」
阿部さんがスマートに軽く手を挙げるとボーイさんがすぐに近寄ってきて、阿部さんはコーヒーを注文してくれた。