明日へのラプソディ

「ああ。それでも、少しでも会えて良かった。また、ゆっくり会いましょう」

そう言って阿部さんが立ち上がったので、私も慌てて立ち上がった。と、背後でも人の立ち上がる気配を感じた。

「じゃ」

と阿部さんが颯爽と立ち去ったので、思わず、

「お疲れ様でした」

と、頭を下げてしまっていると、その横を、

「じゃ、宜しくな」

と、言いながら男の人が通り過ぎて行く気配がした。
頭を上げると、後ろにいたはずの人が、さっきまで阿部さんが座っていた席に座って、上目遣いにこっちを見ているのが目に入った。

「何やってんの」

「…何って」

「まぁ、座んなよ」

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