明日へのラプソディ

甲斐くんに言われるがまま、私はもう一度席につき、飲み残していたコーヒーを一口飲んだ。

「ひょっとしてお見合い?」

うっ、いきなり核心をついてきた。

「ど、どうかな?」

「いや、お見合いでしょ。どう見ても」

「…見ないでよ」

って、何言ってんだろ、私。

「か、甲斐くんは、何してたの?」

「…俺はあんたに約束した通り、俺の山を見付けて、昇ってた途中」

「ファーストアルバムって、甲斐くんの?」

「聞いてたんだ?」

「…気になったから」

「お見合いしながら後ろに聞き耳立ててたんだ?」

「…」

意地の悪い言い方。

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