明日へのラプソディ
「…」
嫌だ、私、なんだか涙が勝手に出て来た。
「でも、確認しようにも、甲斐くんにもう一度会える手段もなくて。悩み始めたら、たった3回しか会った事のない年下の芸能人に言われた事を真に受けて、玉の輿に乗るチャンス失うのは馬鹿なんじゃないかって思い始めて」
「ゴメン。もう、いいよ」
そう言うと、甲斐くんは、私の頬に手を伸ばし、涙を拭ってくれた。
「甲斐くん…」
「もっと、気の強い人かと思ってた」
「…」
「ゴメン。俺がもっとちゃんと言葉にしなきゃいけなかった」
「…」
「俺は、あんたから、言われた事で頑張れた。絶対、山に登り切った姿をあんたに見て貰いたいって思って」
「…」
「だけど、俺はちゃんと言えてなかったね」