明日へのラプソディ

「彼氏と上手くいってないんなら、どうだ、もう一度会ってみないか?」

「いや、上手くいってないわけじゃ…」

ただ、全然会えてないだけで。ただ彼が、私とデートしてないのに、人のデートに付いて行ってるだけで。ただ、それだけで。このまま、阿部さんと会う事になったら、ここ最近では、彼より阿部さんと会う頻度の方が高くなるっていう、ただそれだけ。
…ありえないっ。

「まぁ、明日返事する事になってるから、よく考えといてくれ」

と、言うと課長は、立ち上がり、ドアノブに手をかけると振り返って、

「どんな奴と付き合ってるのか知らないが、阿部さんと結婚した方が間違いないと思うぞ」

と、言い残して出て行った。

「…」

…間違いない、か。

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