明日へのラプソディ

2人が入って閉まりそうになった扉の隙間に咄嗟に手を入れて、扉を引き開けて、サッと思わず中に入って、しまった。

「…」

「いらっしゃいませ」

バーテンダーのお兄さんに勧められて、私の前に入った2人連れの女性はテーブル席についた。店内に入ってしまったものの、どうしたもんかと、閉まった扉の前に立ち尽くしていた私に、

「こちらにどうぞ」

と、バーテンダーのお兄さんが優しい笑顔でカウンターの席を勧めてくれたので、おずおずとカウンター席へと移動して、男性たちから離れた手前の端っこの方の席に座った。

「お久しぶりですね、哉子さん」

「え?あ、お久しぶりです」

「ケーキ、美味しかったですよ。ありがとうございました」

「あ、いえ」

「ちょっと失礼しますね」

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