明日へのラプソディ

真下を向いたじんちゃんが香山さんのうちわに書いてある文字を目で追ったのがわかった。そして、じんちゃんは香山さんに向かってニッコリ笑って手を振った。おお〜。私もっ、私もっ!

「じんちゃ〜ん」

あ、行っちゃった…。なによ、じんちゃん。ついでにこっち見てくれてもいいじゃないの〜。
バックステージに集まった4人はそこで1曲歌うと今度は4人揃って走ってメインステージに戻って行ってしまった。

「主任〜っ。ありがとうございましたっ」

香山さんが興奮気味にこっちを向く。

「まさか、主任からあんな声が出てくるなんて。驚きましたけど」

「ははっ。私も驚いた」

「でも、おかげでバッチリじんちゃんに見て貰えて、手まで振って貰えるなんて、夢みたいですっ」

< 54 / 349 >

この作品をシェア

pagetop