…だけど、どうしても
途端、安心したように、泣き出しそうに、整った顔をくしゃりと歪ませて、紫苑は私をかき抱いた。
「…鎖で繋いで、閉じ込めておければいいのにな。好き過ぎて頭がおかしくなりそうだ。」
何かが胸にこみ上げて、私まで泣きそうになってしまう。私は黙って彼の、しなやかに筋肉がついた背中に両腕を回してあげることしかできない。そんなことしか。
ああ、神様。
どうしてもっと早く彼に会わせてくれなかったのですか。
こんなに愛しい人が、いるでしょうか。
「紫苑、ねえ…何にも気にしないで。謝ることなんて何も無いの。あなたに愛されて、私これ以上ないくらい幸せよ。あなたが嫌がることはしないから、安心して。鎖で繋いで閉じ込めておきたかったら、そうして。私、全部、あなたのものだから。」
私の肩に埋めていた顔を上げて、紫苑は信じられないという表情で私を見た。私はその唇にキスをする。慈しんで、優しく。
驚いたように一瞬身を引いた紫苑は、やがて応えてくれ始め、次第に情熱を帯びて、ためらいを忘れていく。夢中になるにつれ、私の頭は再び彼の両手で枕に沈められていき、彼は私に覆いかぶさっていく。終わりが見えない、いつまでも存在を確かめられているような、そんなキス。
私の息が少し乱れたのを敏感に察して、紫苑が唇を離した。はっとした、我に返った、そんな顔だった。
「ごめん。」
また謝って、私の頬を撫でて、苦しそうな顔をする。どうして苦しむの? 私はあなたに傷つけられてなんかいないのに。