…だけど、どうしても

見たことのない花乃の姿に視覚から五感を刺激され、見るから煽られるのだと目を閉じると、温かでいやらしい動きに感覚が集中してしまう。
駄目だ。困惑と、興奮と、快感と、理性がない混ぜになって俺は混乱する。

「やめろっ…」

その頭を無理やりにでも引き剥がさないといけないのに、段々快楽に飲み込まれていく。俺は仰け反る。

「…う、…は、ぁっ…」

なんで、こんなこと。俺は混濁の中でそう思うが、もう手遅れだ。花乃は容赦ない。してやられた。

「はっ…花、乃…駄目だ…」

思わず自らそれをその顔に押し付け、自分勝手に腰を振ってしまいそうになる。花乃は間違いなくそれを促している。

「…花乃…離せっ…出る、からっ…」

聞こえているはずなのに花乃は動きを緩めない。一体、なんだっていうんだ。
息が荒くなり、呻く。
歯を食いしばっても、もう耐えられない。限界だ。俺は遂に花乃の頭を押さえつけ、一気に上り詰めた。

「っ……くそっ…」

花乃は一滴も残らずそれを飲み干す。
やってしまった。どうして。
果てた俺は荒い息を吐きながら、花乃の頭を離し、ソファに背を預けた。
上げた片腕で顔を覆い、自己嫌悪で暴れだしたくなるような衝動に耐える。

花乃が離れて洗面所へ消えて、戻ってきてから、膝で俺をまたぎ、対面でソファに乗ってきた。のしかかるような体勢で、甘えるように擦り寄ってくる。
わけがわからない。顔色だって戻りきっていないのに。
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