大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「あっ、すまん。腹へってるよな」



龍生が慌ててしゃがみこみ、手にもった犬のおやつを子犬に食べさせた。


子犬はぶんぶんと尻尾を振りながらおやつにかぶりついた。



それから、もっともっととねだるように龍生の手をなめる。


龍生が目尻を下げた。



「………んだよ、まだ食うのか?

お前、食いしん坊だなあ」



そう言って新しいおやつをとりだした龍生は、見たこともないような柔らかい笑みを浮かべている。


あたしは驚きのあまり口をぽかんと開いて、唖然と見つめた。



「おい、落ち着いて食えよ。

むせても知らねえぞ」



龍生が言った矢先、子犬は勢いのあまり、ごほっとむせた。



「あはは! ほれ見ろ、言っただろうが」



龍生がおかしそうに噴き出し、「よしよし」と子犬の背中をさする。


あたしはあごが外れそうなくらい口を開いた。



なにこれ? だれ?


これ、ほんとに龍生?




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