大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
龍生は黙って子犬の首を撫でていた。


子犬は気持ち良さそうに目を細める。



あたしは段ボール箱の中に手を伸ばした。


子犬が一瞬目を見開き、ぺろりとあたしの指先をなめる。



くすっと笑うと、子犬はぱたぱたと尻尾を振った。




―――もう。

しょうがないなあ。




「うちで飼う」



そう口に出すと、龍生と子どもたちがいっせいにあたしに目を向けた。



あたしはにっこりと笑い、子犬を抱き上げる。


それから子どもたちに語りかける。




「この子、うちに連れて帰っていい?」




その瞬間、おおっと興奮したような声があがった。




「まじで!? 飼ってくれんの!?」



「大丈夫ー?」



「大丈夫だよ。うち、昔、犬飼ってたし。みんな犬好きだし」




子どもたちは顔を見合わせ、それから嬉しそうな笑顔の花を咲かせた。




「やったあ! よかったな、犬!」



「いやいや、犬って。名前つけてあげなよ」



「えー? どうする? どうする?」



「どうしよー」




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