大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
子犬の名前に頭を悩ませる子どもたちを見ていると、横から龍生が「おい、鞠奈」と声をかけてきた。



「ほんとにいいのか?」



あたしは笑って頷く。



「いいよ、全然。

龍生も知ってるでしょ?

うちにチワワいたの」



「まあ、知ってるけど………」



龍生は言葉を切り、一瞬、地面に視線を落とした。


それからゆっくりと目をあげると、頬が赤くなっている。



ん? なんで? と不思議に思っていると。




「………ありがとな、鞠奈」




子どもたちの声にかきけされてしまいそうなほど小さな声で、龍生が呟いた。



あたしは驚いて目を丸くする。


龍生の顔がみるみる赤くなった。




「……いっ、犬の気持ちを代弁しただけだっ!」




突然、公園に響き渡るような声で叫んだ龍生を、子どもたちはびっくりしたように見上げて、それから大笑いした。




「おにーちゃん、顔まっか!」



「まりなねーちゃんとしゃべって緊張してんのか?」




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