大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
それからしばらくお母さんと仲良く談笑して、龍生は帰っていった。



「お邪魔しました」


「また来てね、絶対よ」


「もちろんです!」



という会話とともに。


この調子だと、本気でまたうちに来そうだ。



「龍生くんたら、ほーんと、かっこいい好青年になってたわねえ」



龍生が帰ってから、お母さんはしみじみと呟いた。


あたしは呆れて言葉も出ない。



史上最強のヤンキーと恐れられている龍生を『好青年』と評価するのなんて、うちのお母さんくらいのものだろう。


肝が据わっているというか、抜けているというか。



「さあて、オーレちゃんのものを色々買ってこなきゃね」



お母さんがうきうきした様子で出かける準備をはじめる。



「お母さん、ありがとね」



とあたしが声をかけると、お母さんは首を傾げた。



「え? なにが?」


「いや、オーレのこと飼うの、許してくれて………」



なんとなく気恥ずかしくてもごもごと言うと、お母さんがにっこりと笑った。



「あら、鞠奈がそんなこと言うの珍しいわね。

龍生くんの礼儀正しさがうつったのかな?」



―――それは違うと思うけど。




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