大っ嫌いだ、ばかやろう！－最強ヤンキーの不器用な溺愛－

「オーレちゃーん、こっち見てー」



あたしにしては珍しく精一杯の高い声で呼びかけると、オーレがきょとんとしたようにつぶらな瞳を見開いて、こちらをじっと見上げてきた。

あー、かわいい！


ぱしゃりと写真を撮って、すぐに龍生に送る。



龍生からは『どうも』と簡潔な答えが返ってきただけだったけど、きっとスマホの向こうで目尻を下げているんだろうと思うと、さらに笑えてきた。



ほんと、龍生って、意外性のあるやつだ。



子どもたちに囲まれて駆け回ったり、捨てられた子犬のためにコンビニでおやつを買っていた姿を思い出すと、なんというか、ほっこりした気持ちになってきた。



ひとを見た目で判断しちゃいけないんだな、なんて、今更なことを思う。



やっぱり、龍生は、あたしが思っていたような最恐のヤンキーなんかじゃないのかもしれない。