大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「―――ふふっ」



夢から覚めて、それが幼い頃のある日の思い出だと分かった瞬間、あたしは思わず笑ってしまった。



あれは確か、龍生の子分になって1年くらい経った頃のこと。


うちではまだ犬を飼っていなくて、でもあたしは犬が大好きで。


龍生と二人で遊びに出ていたときに、ある家の前を通りかかって、ちょうど犬の散歩に出かけようとしていたおばさんを見かけて、あたしがうらやましそうにしていたら、

龍生がおばさんに交渉してくれて、一緒に散歩できることになったのだ。


そういえば、あの頃の龍生は、実は犬が怖かったらしくて、犬が近づいてくるたびに、


『うわっ、こっちくんな!』とか、


『わあっ、こいつ、う○こしやがった!』とか、


ぎゃあぎゃあ騒いでいたっけ。


そんな龍生を、おばさんが微笑ましそうに見ていたな。



そんなことまで思い出して、あたしはおかしくなってまた笑った。




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