大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
そんなことがあったの、すっかり忘れてたな。


どうして忘れちゃってたんだろう?



龍生との思い出は、虫を持って追いかけられたり、髪の毛を引っ張っていじめられたり、おどかされて泣かされたりした強烈なものばっかりで。


そんなほのぼのするようなことがあったのなんて、まったく記憶になかった。



でも、考えてみると、嫌なことばっかりじゃなかったんだ。



5歳のころ、いじめられてひどく泣かされた後に、龍生があたしの好きなたんぽぽの花を山ほどとってきてくれたこととか。


7歳のころ、すずめが可愛いから近くで見てみたいと言ったら、龍生が手作りの罠をつくってすずめを捕まえようとしてくれたこととか(結局失敗したけど)。


9歳のころ、一緒にゲームセンターに行って、あたしの好きなキャラクターのぬいぐるみがUFOキャッチャーの景品になっていたのを見つけると、龍生が一時間近くねばって取ってくれたこととか。




―――そうだ。


いろいろ思い出してきた。



龍生は、乱暴で怖くて俺様なだけじゃなくて。


優しいところもあって………だから、あたしは結局、龍生の子分を続けていたんだった。







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