大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
たびたび比較しちゃって、申し訳ないんだけど。


こうやって、あたしの意見を聞いてくれるところが、高田くんって大人だなあ、と感心してしまう。


だって、龍生だったら、

「俺は○○に行きたい。お前もついてこい!」とか、

「口答えしねえで黙って俺と一緒に来い!」だもん。


一方的で強制的。

あたしの意見を聞いてくれたことなんて、一度だってない。


ほんと、龍生と高田くんって、同じ男子高生とは思えない。



「佐伯さん?」



高田くんが首を傾げて訊ねてきたので、あたしははっと我に返った。


高田くんと一緒にいるのに龍生なんかのこと考えちゃうなんて、あたしの馬鹿!



「ご、ごめん!

ちょっと考えこんじゃって」



あわてて答えたそのとき、ちょうど電車がホームに入ってきた。


あたしと高田くんは人波に押されるようにして車両に詰め込まれる。




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