大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
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「まりなぁ、いるかー?」
昼休みのチャイムが鳴ってすぐ、いつものように、教室のドアから顔を覗かせて、あたしを呼ぶ龍生の声。
クラスメイトたちもさすがに慣れてきたのか、それとも龍生が見た目のわりには害のないヤンキーだと気づいたからなのか、特に気にするふうもない。
「はいはい、いま行くー」
あたしは二人分のお弁当を持って龍生のもとに向かった。
「おう」
龍生は軽く頷くと、あたしの手からさっとお弁当を奪い取った。
「さっさと行くぞ」
「はいはい」
そのまま二人でいつもの階段に向かう。
龍生が真ん中あたりの段にどすっと腰を下ろすと、あたしはその一段下に座った。
無言のまま、かきこむようにお弁当を平らげると。
「さて、ちゃんと宿題やってきた?」
「おう」
龍生が背負ってきたバッグから教科書やノートを取り出した。