大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
*
「おい、おまえ!
いいもんもってんな。
それ、おれによこせ!」
でかい図体で、無遠慮にどすどすと近づいてきて、
威圧的な顔であたしを見下ろす男の子。
見知らぬ男の子にいきなり話しかけられて、幼いあたしはきょとんとしたものの、
すぐに首をぶんぶんと振った。
「やだよ! これ、あたしのだもん」
男の子が眉をつりあげる。
「あぁ!? なんだと!?
おまえ、なまいきだな!
よし、きめた!!
おまえ、きょうからおれのコブンな!」
「………はぁ?」
あたしは訳が分からず、首を傾げた。
「コブンってなに?」
そいつは呆れたように肩をすくめる。
「そんなこともしらねえのか。
ばかだな、おまえ!」
「ばかじゃないもん!」
「ばかだよ!
しょうがないから、このおれさまが、とくべつにおしえてやる。
あのな、コブンっていうのはーーー」