大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
『…………』


『…………』



無言のまま見つめ合っていると、お父さんが車の運転席から顔を覗かせた。



『鞠奈? お別れ終わったか?

そろそろ行かないと、引っ越し屋さんに追いつかないよ』



『あっ、うん!』



あたしは振り向いてお父さんに返事をして、龍生に向き直る。



『………じゃあ、行くね』


『………おう』



龍生はこくりと頷いた。


あたしは龍生に小さく手を振り、車の方に駆けて、後部座席に乗り込んだ。



車がゆっくりと動き出す。


あたしはちらりと振り向いて、ガラス越しに龍生を見た。


龍生は顔を歪めたままこっちを見ていた。



車のスピードが上がって、住み慣れた家から離れはじめた、そのとき。




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