大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
『―――まりな!』



龍生が叫んで、猛然と走り出した。


そしてすぐに、ゆるゆると走る車の横に並んだ。



あたしはウインドウを下げ、『あぶないよ!』と声をかける。


龍生はふるふると首を振って、走りながら叫んだ。




『おいコラ、てめえ、おぼえとけよ!

お前は俺の子分なんだからな!

いつまで経っても、永遠に俺の子分なんだからな!』



龍生の勢いに気圧されて、あたしは思わずこくこくと頷いた。



『分かったか!

お前は永遠に俺の子分だ!

だから、一生お前のこと―――てやる!』



最後の言葉は、エンジンの音にかきけされて、聞き取れなかった。



『………ばいばい、龍生』



龍生は力つきたように足をゆるめた。



その姿がどんどん小さくなっていく。


街の風景に溶け込んでいく龍生は、いつもと違って、頼りないほどに小さく見えた。




< 203 / 248 >

この作品をシェア

pagetop