大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
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終礼がおわると、あたしはさっそく帰り支度を始めた。
「鞠奈、もう帰るの?」
有香が声をかけてきたので、あたしは頷く。
「れなちゃんたちとカラオケ行こうって言ってたんだけど、鞠奈はどうする?」
「あ、ごめん、先約が」
顔の前で両手を合わせて謝ると、有香がにんまりと笑った。
「へー? だれとー?」
「え、だ、だれって………」
「赤川先輩?」
あたしは思わず目線をそらしてから「うん」と答える。
有香が「なるほどね~」とあたしの肩に腕を回してきた。
「なになにー、最近まじでいい感じじゃん?」
「そんなことないって………」
「だってさー、まえはあんなに怖がってたのに、今はけっこうにこにこ話してるじゃん」
「まあ、ね。あたしが思ってたほど不良でも怖くもないって分かったから」