大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
優しげな表情―――その言葉にどきりとする。


だってそれは、あたし自身も感じていたことだから。



最近、龍生は、あたしにとても柔らかい表情を向けてくれるようになった。


くすぐったくなるくらい、柔らかくて優しい瞳。


その目に見つめられると、どうしていいか分からなくなって、あたしはいつも視線を逸らしてしまうのだ。



「………そうかな? あはは」



あたしはごまかすように笑って、席を立った。


それから龍生のところに向かう。



「もう帰れるの? 龍生」



「あー、すまん。ちょっと担任に呼ばれて。

お前、30分くらい待てるか」



「ん、いいよ。なに、担任に怒られるの?」



「ばっか、ちげーよ」



龍生が小さく笑って、あたしのおでこを、こつんっと軽くこづいた。


その表情と仕草に、なんとなく顔が熱くなる。



「進路の面談だよ。たぶん20分ちょっとかかるから」


「………ん。わかった」



あたしは頷いて、龍生に手をふった。




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