大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「………おい、コラ!!

金森、てめー、盗み聞きたあ、いい度胸してんじゃねえか!!」




龍生ががばっと立ち上がり、金髪さんの胸ぐらにつかみかかった。



まさか殴り合いの大喧嘩でも始まるのかと、あたしは覚悟を決める。



でも、金髪さんは無表情なまま、顔色ひとつ変えなかった。


隣でポケットに両手を入れて立っているアッシュさんも、にやにや笑うだけだ。




「なに笑ってんだよ、灰谷!!」



「いやあ、お前のそんな顔、なかなか見れねえからさあ」



「んだと、コラ!!」




龍生はドスのきいた声で凄んだけど、二人はやっぱり怯む気配すらない。




「つーか、べつに盗み聞きとかじゃねえから。

あんだけでかい声で言い合ってたら、下の階まで聞こえて当たり前だろうが」




金髪さんが耳に小指を突っ込みながら、平然と言った。




「「………まじで!?」」




と叫んだあたしの声に、龍生の声がぴったりと重なった。




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