大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
でも、金森さんだけはあたしの隣に残り、ちらりとこっちを見る。




「あのね、鞠奈ちゃん」



「はい」



「いちおう言っとくけど。

俺、別に今は女好きでも女たらしでも、手が早くもないから。

かわいい彼女がいて、そいつにベタ惚れだからさ」



「あ、そうなんですか」




なんと返せばいいか分からず、あたしは中途半端な相づちを打った。


しかも、『今は』ってことは、昔は違ったのか?



そんなことを考えていると、金森さんが薄い微笑みを浮かべる。




「ま、それなのに龍生は、俺が危険だとか言って、鞠奈ちゃんに近づかせないようにした、ってわけ」



「はあ……はい?」



「さあて、なんででしょうねえ?」




金森さんがとぼけた口調で言って、「じゃあね」とひらひら手を振り、階段を下りていった。



下から、「おいコラ、おせーぞ金森!」と龍生が叫んでいるのが聞こえる。




あたしは踊り場でぽかんとしたまま、派手すぎる見た目の三人を見送った。




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