大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「………でも、まあ、五百歩ゆずって、見た目は悪くないとしてもさ。

あいつ、中身はただのガキ大将だからね?

横暴で凶悪なバカヤンキーだからね?」




「いいよ、べつに。

顔がカッコよければ♪」




なぜかうっとりとした顔で言う有香を見て、あたしは顔を両手で覆った。




「外見がよければ中身はどうでもいいなんて、お母さんはあなたをそんな子に育てた覚えはありません!」




泣き真似をしながら言うと、有香が「誰だよ!」と笑った。



ああ、楽しいな。


女の子どうしでしゃべるのって、どうしてこんなに楽しいんだろう?




「あ、噂をすれば」




いきなり有香が言って、目線をちらりと動かしたので、

あたしは「へ?」と首をめぐらす。




すると、教室の入り口に仁王立ちしている、真っ赤な髪が目に入った。




「………げっ、龍生。また……?

さっき会ったばっかりなのに………」




あたしの絶望など知るはずもなく、龍生はまっすぐにこっちを見ている。





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