大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「お礼って、なんの?」



「あー、お昼いっしょに食べてたんだけどさ」



「あら♪」



「もう、そんなんじゃないって……で、龍生があたしのお弁当に入ってる玉子焼きを略奪して、そのお返しにプリンくれたの」




弁解するように早口に答えると、お母さんが「あらま」と目を丸くする。




「それって、私がつくった玉子焼き?」



「もちろん」



「龍生くん、なんて言ってた?」



「うめー! って叫んでたよ」




見たままを伝えると、お母さんは両手で頬を押さえて、満面の笑みを浮かべた。




「んま、龍生くんったら。

昔から何か食べさせてあげると、必ず、うまい! おかわり! って言ってくれてたわよね。

ほんと、いい子だわ~。あんな息子、ほしいわ~。


あんたも公平もお父さんも、おいしいなんて言ってくれたことないもの………」




お母さんはわざとらしく涙を拭くしぐさをした。



………そりゃ、たしかに私もお兄ちゃんもお父さんも、わざわざそんなこと言ったりしないけど。


心の中ではおいしいと思ってるし。

ただ、口に出すのは照れくさいっていうかさ。





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