大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
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帰りのホームルームが終わって、帰り支度をしていたとき、龍生がやってきた。
「おい、鞠奈ぁ!
お前、今日部活ねえだろ。
なに帰ろうとしてやがんだよ!」
………ああ、見つかってしまった。
龍生が来る前に帰っちゃおうと思ってたのに。
龍生は怒りを隠しもせずにどすどすと足音をさせて近づいて来て、あたしの目の前に仁王立ちになった。
「ふざけんじゃねえぞ、てめえ!」
「ふっ、ふざけてなんかないし………ただ帰る準備してただけだもん!」
慌てて下手な言い訳をすると、龍生は眉根を寄せて、
「あぁん? まあ、それならいいけどよ……」
ともごもご呟いた。
あぁ、龍生が馬鹿でよかった。
「ところでなぁ、俺、センコーに呼ばれてんだよ。
お前、ちょっとここで待ってろ。
勝手に帰りやがったら承知しねえからな!」
「はいはい………」
龍生は最後に恐ろしい目つきであたしをひと睨みして、再びどすどすと歩いて教室を出ていった。