大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
威圧的な後ろ姿を見送ってから、あたしはふうっと息を洩らす。



別に、龍生と帰るのが死ぬほど嫌ってわけじゃない。



龍生はズボンのポケットに両手を突っ込んで、肩を揺らしながらあたしの斜め後ろをついてくるだけで、

うるさく話しかけてくるわけでもないし、ぱしらされたりするわけでもないし、

それほど害はないから。



………でも。


あいつと並んで歩いていると、ものすごく周囲の視線が痛くて、とてつもなく落ち着かないのだ。


だって、あんな見るからにヤンキーなやつと、あたしみたいな普通の女子高生が一緒にいて、しかもろくに喋りもしないでいるなんて、

ふつうに考えたら異様だ。


そりゃあ皆、気になるよね。



龍生はあの鋭い目つきで周りにガン飛ばしまくってるし。


いつか他校のヤンキーとの喧嘩とかに巻き込まれるんじゃないかと思って、あたしは気が気じゃないのだ。




「………今日も無事に帰れますように………」




あたしは机に突っ伏したまま、神様に祈った。





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