大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「佐伯、大丈夫?」




突然さわやかな声に呼ばれて、あたしはぱっと顔をあげた。


軽く眉をひそめて、心配そうな表情であたしを見つめているのは、なんと。




「………えっ、た、高田くん!?」




驚きのあまり、声が裏返りかけてしまった。



だって、高田くんとは席が離れているせいでほとんど接点がなくて、今までしゃべったことがなかったのに。


なんで急にあたしなんかに話しかけてくれたんだろう?



ぽかんとしたまま、机の前に立っている高田くんを見上げていると、高田くんがすとんと前の席の椅子に座った。




「おーい、佐伯、大丈夫?

なんか疲れてるっていうか、ぼんやりしてるけど」




あたしはそこではっと我に帰って、「なんでもない、大丈夫!」と首をふった。




「それならいいんだけど。

なんか、ここんとこ元気ないなって心配してたんだ」




高田くんが微笑みながら言った言葉に、あたしは自分の顔が赤くなるのを感じた。



だって、こんなかっこよくて優しい男子に、ひっそりと心配してもらってたなんて!


しかも、そんなに仲良くもないのに。



高田くん、なんて優しいの!?




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