大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
龍生、なんで怒ってるの?


わけがわからなすぎて、あたしは硬直したまま龍生を見つめ返すしかない。



高田くんも恐れをなしたように龍生の怒り狂った顔を見ている。




「…………」




龍生は口を噤み、重苦しく押し黙ったまま、ふいにすっと手を上げた。



そして、あたしの手首をがしっとつかむ。




「え、えっ、えっ?」




手をつかまれたまま、何事かと戸惑っていると、龍生はもう片方の手であたしの鞄をばっとつかみとって、くるりと踵を返した。



そのままドアに向かって歩き出すので、あたしも引きずられるように歩かざるを得ない。




「ちょっと、龍生っ、なんなの急に!」



「つべこべ言わねえでついて来いや!」



「は、はいっ」




ドアから廊下に出る瞬間、かろうじて身体をひねって振り向くと、高田くんが呆然とした顔で見送っていた。




< 72 / 248 >

この作品をシェア

pagetop