大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
ズボンのポケットに手を突っ込んで歩く龍生の二歩ぶんくらい後ろを、あたしは歩く。




「…………」



「…………」




龍生はいつも通り、押し黙ったまま歩き続ける。



でも、その背中は、明らかに苛立っていて。


あたしも何も話しかけずに黙ってついていく。


触らぬ神に祟りなし、っていうしね。



本当は一緒に帰りたくないけど、ここでこっそり姿を消したりしたら、後からどんな目に遭うことか。


仕方がないから、気まずい雰囲気のまま後を追うしかない。



そのとき、あたしのスマホがピロリン、と鳴った。


ポケットから取り出すと、なんと、高田くんからラインが入っている。



さっそく開いてみると。




『高田です。

佐伯、大丈夫?

赤川先輩、なんかすごい形相だったけど……。

ヤバいことになってない?』




―――ああ、高田さま。


あなたは神様ですか? それとも仏様?



なんて優しいの?




あたしは緩む頬を押さえながら、返信する。




『大丈夫、大丈夫!

心配してくれてありがと。

てゆうか、びっくりさせてごめんね。

話の途中だったのに、気悪くしてない?』





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