大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
校門を出て、駅までの道を歩き出すと。


周りの星ヶ丘生が、龍生の姿に気づいて道を開ける。



ちょうど下校ラッシュで通学路が混み合う時間だけど、龍生の醸し出すオーラによって人垣がどんどん割れていくので、すごく歩きやすい。


こういうもときはコワモテも便利だな。



しばらく歩くと、学校の最寄り駅が見えてきた。



お買い物中のおばちゃんたち、鞄を抱えて速足で歩くスーツ姿のサラリーマン、近所の小中学生。


誰もがちらちらと龍生を見ている。


ほんと、相変わらず目立つなぁ。



あたしは少し歩みを速めて、龍生の半歩うしろからその姿を観察した。


真っ赤な髪が風になびいている。

襟元から覗く金のネックレスが歩調に合わせてしゃらしゃら音を立てている。


細い眉をくっとつりあげて、龍生が視線を動かすと、チラ見していた人々はさっと目を背けた。



そりゃ、みんな怖いよね。


俺ヤンキーですって宣言しながら歩いてるようなもんだし。


こんな格好で歩き回ってたら、いつかチンピラとかにインネンつけられちゃうんじゃ………


と何気なく考えていたあたしの想像が、まさかの的中をしてしまった。




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