大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
その瞬間、大きな手が伸びてきて、あたしの頭をがしっとつかんだ。



「ばかやろう、出てくんじゃねえ!」



龍生がぎろりとあたしを睨み下ろしながら言う。


凄まれて、あたしはこくこくと頷いた。



龍生の高い背中にすっぽり隠れて、腕の隙間から様子を窺う。


ぴりぴりとした緊張感が、龍生と相手たちの間に流れている。



「赤川、てめー、いつもいつも勝ち逃げしやがって。

しかも今日はオンナ連れかぁ?

いい気なもんだな、おい」



坊主頭がにやにやしながら威嚇してくる。



―――もしかして、これ、喧嘩になるんじゃ。


あたしの心臓はばくばくと早鐘を打ちはじめた。



ヤンキーの喧嘩なんて、生で見たことはない。

でも、イメージはできる。


メリケンサックとか鉄パイプとかを使って、相手が気を失うまで殴りあって、

最後には下手したらナイフとか出てきちゃって、



………やばいよ、流血沙汰は必至じゃん!


最悪、警察沙汰にもなるかも。




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