大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
龍生は、最強で最凶で最恐のヤンキーだと言われている。


でも、さすがに三対一じゃ、やばいでしょ。



あたしが青ざめていると、坊主頭が拳を握りしめるのが見えた。



「―――勝負だ、赤川!!

今日こそお前を負かしてやる!!」



そして、その拳をゆっくりと振り上げた。


とりあえずはメリケンサックも鉄パイプも使う気がないらしくて、あたしは少しほっとしたけど。


でも、あんな硬そうな拳で思い切り殴られたりしたら、絶対にただじゃすまない。



あたしはぱっと龍生を見上げた。


龍生は、多勢に無勢だというのに怯む様子もなく、平然と微笑みを浮かべている。



「あぁん? てめーなんぞがこの俺様に勝てるとでも思ってんのか?

俺は今まで負け無しの最強だぜ?


………いいぜ、来いよ。

いつも通り、返り討ちにしてやらぁ」



それを聞いて、あたしはさらに青ざめた。



バカ龍生!!

なんでまた相手の怒りに油を注ぐようなこと言っちゃうわけ!?




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