大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
「あ? なんだよ、鞠奈」


「まさかとは思うけど、あんたが『最強』って言われてるのって………じゃんけんが強いから?」


「ったりめーだろ!」



龍生は自信満々に答えた。


あたしは呆れ返って龍生を見上げる。



「なにそれ、びびって損した!

てゆーか、ヤンキーのくせに、なんで殴り合いの喧嘩で勝負とかじゃないわけ?」



きっと誰もが抱くであろう問いを投げかけると、龍生は意外そうに目を見開いた。



「あぁ? 殴り合い?

んなことするわけないだろ!

殴ったら痛てえじゃねえか」



当たり前のように答える龍生。


その恐すぎる風貌で言われても、ぜんぜん説得力ないんですけど!



どこからどう見ても超絶ヤンキーのくせに、殴り合いは痛いからやらずに、じゃんけんで白黒つけるとか。


もう、気が抜けちゃったよ。



「なにぼーっとしてんだよ。

帰るぞ、鞠奈!」


「………はいはい」



もしかして龍生って、みんなが思っているほど恐いやつじゃないのかな。


なんて思いながら、あたしは龍生の背中を追った。




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