大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
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「………ねえ、鞠奈さん。
アナタ、にやにやしすぎてて気持ち悪いんですけど」
「へっ??」
スマホの画面に見入っていたら、有香が呆れ返ったような声で言った。
慌てて顔を上げると、声と同じく表情まで呆れきっている。
「あたし、にやにやしてた?」
「ものすごーくね」
「うっ、そーか。でもしかたがない!」
あたしはぐっと前かがみになって、有香に耳打ちする。
「隊長! 佐伯、ついに彼氏ができるかもしれません!」
「ほう」
有香が眉を上げて、「佐伯少佐、首尾を報告せよ!」と悪ノリに付き合ってくれた。
「いやぁ……ほら、先週から高田くんとラインはじめたじゃん?
もうね、かなーりいい感じなの!
家帰ってからも、寝るまでずっとライン来るし!」
「へえ、まじで?」
「ほんとどうでもいい内容なんだけどさ。
だからこそいい雰囲気っていうか。
なんでもないことでも報告したくなっちゃう的な?」
にやつく両頬を押さえながら言うと、有香は「そうなんだ」と目を輝やかせる。