大っ嫌いだ、ばかやろう！－最強ヤンキーの不器用な溺愛－

「佐伯！」



爽やかな声に呼ばれ、あたしはがたんと立ち上がる。


慌てて振り向くと、教室の後ろのドアの前で、高田くんが「呼び出しだよ」とあたしを手招きしていた。



………うわー、びびった。


話、聞かれてたのかと思った。



「あ、うん、今いく！」



にやにやしながら見上げてくる有香を睨むそぶりをしてから、あたしはぱたぱたと駆け出した。



高田くんがあたしを呼ぶなんて、いったいどんな用事かな？


高田くんがじっとあたしを見つめながらドアの前で待ち構えている。



あっ、もしかして、告………




「………おいコラてめー鞠奈ぁ！

なにぼーっとしてんだよ！！」



あたしの夢のような妄想を突き破る、ドスのきいた声。


あたしは絶望的な目を高田くんの背後に向けた。


高田くんより頭一つ高いところからあたしを睨み下ろしてくる恐ろしい三白眼。



「………りゅっ、龍生……」



「お前、なにニヤけてやがった！

正直に言ってみろ、コラァ！」



龍生の剣幕にあたしは縮み上がる。


ど、どうしよう、なんて言えば……。