幼なじみ物語*番外編


「何もねぇだろ。次いこっか」

「うん…」


ん?

なんか麻里の声が、いつもより弱々しい気がする。

そんな麻里を気にかけながらも、廊下を歩く。


南舎から北舎へと移り、家庭科室へと入る。

被服部が作ったドレスを着たマネキンが、一瞬人に見えてしまう。

けどすぐにマネキンと分かり、怖さなんて感じない。

ここも、そんな感じ。


「えっと、次どこだっけ? 麻里?」


様子のおかしい麻里に、俺は声をかけた。

下を向く麻里。

表情は見えないけれど、少し震えてることに気がついた。




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