恋した責任、取ってください。
つまり、私は今、超絶緊張している。
というわけで、全てにおいて余裕がない。
『生理が遅れてるんだよね~』なんて笑って言っていた恵麻さんの妊娠が分かったのがついこの間で、病院でオメデタが分かった途端、急につわりが始まり、一人でワタワタとしているうちに迎えてしまった今日のこの日。
そんなわけで、落ち着かないままに準備を進めたから、何か忘れていることがあるんじゃないかと浮き足立ってしまって、一週間前から気が気じゃないったらありゃしない。
……ザキさんのそのチャラヘラっとした感じ、少し分けて頂けないでしょうか。後生です。
「大丈夫だよ、なっちゃん。恵麻には頼人さんが付きっきりで世話してくれてるし、こっちは俺が付いてるから。心配することないって」
「そうですよ夏月さん!」
「みんなで頑張りましょう!」
うひゃうひゃと佐藤さんに絡むザキさんを、お気楽でいいですね……と若干刺々しい目で見つめていると、大地さんをはじめ、溝内さん、黒井さんも私を気遣って元気づけてくれた。
けれど私は、告白する以前のようなフラットな態度の大地さんに逆に壁を感じてしまい、勝手に気まずい気持ちになりつつ「は、い……」と小さく声を絞り出すことしかできない。
バスケ教室と大地さんの変化に戸惑うばかりの今の私には、二つをいっぺんに処理することなんてできなくて、胃薬が手放せないのだ。
二度フラれてからというもの、こんなふうに大地さんの態度が変わった……というか、戻った。
その理由は分からないけど、全部無かったことにしようとしているこの不自然なフレンドリー感が、大地さんの答えなのだと思う。
高浜さんにも佐藤さんにも弥生にも、たくさん励ましてもらったし背中を押してももらったけど、好きの気持ちだけではどうにもならないこともある恋があるように、この先も大地さんに誰かを好きになるつもりがないなら、これ以上の深追いはしないほうがいいのかもしれない。