恋した責任、取ってください。
 



「ふい~、どうにか間に合ったぁ。駅からめっちゃ走ったから暑い暑い」


頬を上気させた弥生が、私の隣に腰を下ろすなりそう言いながら秋コートを脱ぐ。

バスケットコートをぐるりと囲むように設営された応援席の、選手たちが座るベンチ側、二階席の中央付近、最前列。

社員が試合観戦することは特に社内で推奨されているわけではないけれど、サポートチームはシーズン中は土日返上で運営側を手伝ったり応援席でパンフレットを配ったりと、それはそれでわりと忙しい。

そういうわけで、私たちはその合間を縫って試合を観るわけだけれど、昨日の土曜日に行われた1戦目は、4点差という僅差でブルスタに初めて土がついた。


「ねえ、お姉ちゃん。今回の2連戦の相手って、ブルスタと同じでまだ負けてないチームなんでしょ? 昨日、初めてこっちに土が付いちゃったから、今のとこ、単独首位だよね。どうなの? 強いとこなの?」


電車の待ち時間にでも買ったのだろう、ペットボトルのお茶を勢いよく喉に流し込んだ弥生が、キャップを締めながら訝しげな表情で尋ねてきた。

ここ最近、論文の提出や学祭の準備もあって忙しくしていた弥生は、今日初めて生で試合を観戦する。

今日も朝早くから学祭の準備で大学に行っていた彼女は、その足でこちらに向かってくれたと、そういうわけだ。

けれど勝敗はずっと気になっていたようで、昨日の試合後、急いでホームページにアップした結果や試合の様子にすでに目を通しているらしい弥生は、ペットボトルをきゅっと握りしめると「今日は勝って勝率で並びたいよね」と表情をきりりとさせてコートに目を落とした。


「……うん、強い。東リーグで昨日まで無敗だったのは、ブルスタと、そのファイヤー・ホーネットの2チームなんだ。総当たり戦だから、これから順位が入れ替わってくるとは思うけど、プレーオフ進出はブルスタの悲願だから。連敗は避けたいって、みんな言ってる」
 
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