恋した責任、取ってください。
 
「……そうだったんですね……」

「まるで俺らのことなんて見てないんですよ、あの人。だから、ちゃんと俺らと一緒に戦えよ、って。あんたと一緒に戦ってるのは俺らなんだぞ、って。……なんか、悔しくて、惨めだったんです」

「……はい」


まるで中身のないような相づちの合間に、先ほどまでの試合を頭の中でリプレイする。

--言われてみれば、確かに。

ゴール下の守備やリバウンドでも、ある特定の選手と競り合うときだけ大地さんの反応が一歩も二歩も遅れて必ず競り負けていたし、恐る恐るというか、遠慮がちにプレーしていたところがあったように思う。

フェイントについていけずにあっさり抜かれたり、普段ならもっと強く当たってボールを奪いにいくのに、それもないというか……。

そんな大地さんの様子に、薄々そうかなとは思っていたけれど、こうして教えてもらうと、やっぱりそうだったんだと納得せざるを得ない。


本当に、葛城さんとの間に何があるっていうんだろう。

聞くに聞けないもどかしさが募り、石でも飲み込んだみたいに、ずしんと心が重くなっていく心地がした。


「……でも、大地さんと一緒になって調子を落としてやるほど、このチームはあの人に甘くなんてないですよ。ホーネット戦に関しては、あそこまで調子を落としてくるだろうなっていうのは想定済みでしたし。予想外だったのは俺です。大地さんのぶんまで完璧にカバーして今日は勝つつもりでいたのに……」

「佐藤さん……」


きつく握った拳で布団の上から自分の脚を悔しそうに叩く佐藤さんに、それからの言葉に詰まる。

そうまでして大地さんに浮上してきてもらいたい気持ちが深く深く胸に刺さって、ズキズキと痛い。


「だからお願いです、夏月さん。大地さんと話をしてあげてください。本当のあの人は、夏月さんが思ってるよりずっとずっと格好いいんです。一緒に見ましょうよ、エンジン全開の大地さん。実は俺、大地さんも大好きなんです」
 
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