恋した責任、取ってください。
試合後、会場を出る観戦客たちの波に乗りながら弥生と並んでのろのろと歩いていると、たまらず、といった様子で苦々しくそう口にされ、また胸のあたりがずしんと重くなった。
もじゃもじゃ頭--きっと高浜さんだろう。
弥生が言ったとおり、私はハーフタイム中に会場に戻ったので、第2クォーター終了直後の様子はわからないけれど、高浜さんもだいぶフラストレーションが溜まっているんだということは、彼の後半のプレーの荒々しさから察しはついていた。
佐藤さんが抜けて得点源がいなくなったブルスタは、獣なんかで例えたら〝牙を抜かれた〟的な状態だっただろうし、焦りや苛立ちもあって、わかっているのに思わず大地さんにきつく当たってしまったんだろう。
その葛藤は、いかほどのものなんだろう。
〝岬大地〟というプレーヤーはこんなもんじゃない。
大地さんだって、一緒にコートに立つみんなだって、コーチだって、サポートチームやブルスタを応援してくれるたくさんのサポーターだって、みんなみんな、そう思っているのに。
チームがバラバラになりかけている。
それなのに、どうして私は……。
「ねえ、お姉ちゃん」
「ん?」
弥生の声に、そちらに顔を向ける。
ちらりと横目だけで私を見た弥生は、すぐに前方に視線を投げて、口元に緩く弧を描きながら言う。
「試合前、お姉ちゃんが言ってたことだけど。自分にできることがなくて落ち込んでるって話。あれ、もうほっときゃいいんじゃないかって、あたしなら思うよ。だって、身内としてはお姉ちゃんが泣くところなんてもう見たくないし、お姉ちゃんがそこまで思い悩むこともないんじゃないかって。もっと言えば、突き放しちゃえばいいじゃんって。正直、思う。――でも」
「……でも?」
「でも、見てよ、あれ」
「え……?」