恋した責任、取ってください。
「――さて、ここからが本題なんだけど」
大将さんによってチョイスされた微炭酸のリンゴジュースと冷酒が同時に運ばれると、ひとつ息を吐いた大地さんが、そう言って表情を硬くした。
これから始まるのは、大地さんと葛城さんの10年だ。
表情を引き締め、神妙に頷き返すと、大地さんは自分のグラスの冷酒に目を落としながら、ぽつり、ぽつりと話しはじめた。
「俺が葛城と出会ったのは、高1の頃。それまでも何度も大会なんかで顔を合わせたことはあったけど、実際に喋ったのはそのときが初めてだったよ。スポーツ推薦で同じ高校に進んで、チームメイトになったのがわかってから。葛城も俺もずっとセンターをやってたし、体格も同じでね、のちのちレギュラー争いとかするようになるんだろうなぁって思って、俺からあいさつをしに行ったのがきっかけだったんだ」
同じポジションでレギュラーを争うライバルだけど、なによりチームメイトだから。
単純に親睦を深めたかったんだよ、と大地さんは言う。
「葛城も俺の気持ちを素直に受け止めてくれてさ、にっかり笑って『よろしくな』って。すげーいいヤツだって思ったよ。ふたりで切磋琢磨して、正々堂々レギュラーを争って、そして自分が実力で選ばれたいって、すぐにそう思った。きっと葛城も同じ気持ちだったと思う。俺らが進んだ高校って、推薦で選手を集めるくらいだから強豪でね、実力がものを言うところだったから。実力があれば上級生を差し置いて堂々とレギュラーを張れる。そういう意味では、とてもワクワクするところだった」
シビアな反面、燃えたよね。
同じポジションにライバルもできたし、実力次第で上級生をレギュラーから引きずり下ろすこともできる。
「バスケをするのが楽しくて楽しくてしょうがなくてさ。寝てるときもバスケのことを考えてたくらいだったよ」
ふっと口元を緩めて、大地さんが昔を懐かしむように微笑する。