恋した責任、取ってください。
その顔は本当に穏やかで、私にも一目でいい思い出なのだとわかり、大地さんにつられて自然と口元も緩む。
照れるわけでも誇張するでもなく「一生の親友を見つけたと思ったよね」としみじみ言って冷酒を一口、口に含む大地さんに、私も「ソウルメイトなんですね」と相づちを打ち、微炭酸のリンゴジュースを一口飲んだ。
「……そうだね、そういう意味でもソウルメイトだったんだろうね」
けれどそこで、大地さんの表情に陰りが見えはじめた。
景気づけのためか、もう一口、多めに冷酒を喉に流し込むと、「え?」と尋ねる私にさっきまでの微苦笑をもらしながら「ここからは気を悪くしないで聞いてもらいたいんだけど」と念を押されてしまった。
そんなふうに言われると、恋愛経験がない私にも嫌でもピンとくる。
--もしかして、同じ人を好きになってしまった?
すると大地さんは、そうだよ、と言うようにひとつ頷き、短く息を吐き出した。
「葛城も俺も、女の子の趣味が同じだったんだろうね。なっちゃんみたいに小さいマネージャーの子に、いつの間にか恋してた。その子の何にとか、どこにっていう確かなものがあったわけじゃなかったと思う。一緒に部活をしているうちに、ふたりとも自然に惹かれていったんだと思う」
お互いにヘタレだったから、卒業するまで告白もできなかったんだけどね。
口には出さなかったけど、葛城は俺が誰を好きかわかってたし、俺も葛城の好きな人が誰か知っていた、最後まで気づいていなかったのは密かに俺らに想われていたその子だったんじゃないかな。
そう言うと、大地さんは意味深に微笑む。
「とにかく鈍い子でね。そういうところも可愛かったんだけど。――まあ、なっちゃんも同じタイプだよね。今はさすがにわかってると思うけど、ソウに想われてることにしばらく気づいてなかったでしょ」