恋した責任、取ってください。
「でもね、完全に自滅してチームに大迷惑をかけたとき、一番に会いたいと思ったのは、やっぱりなっちゃんだったんだ。この子だけには全部話しておきたい、全部知っていてもらいたい、それでダメならもう仕方ないって。そうやって腹を括って、あのとき、なっちゃんが出てくるのを待ってた」
そういえば、あのとき葛城が電話を掛けていた相手って、奥さんだったんだって。
俺があんまり情けないプレーしかしないから、一度会って話をしてやってほしいって頼むための電話だったらしい。
そう付け加える大地さんは、参ったなと言うように困り顔で笑う。
「葛城は、もうとっくに俺を許してくれてたんだ。恨んでもいないし、俺がバスケを続けてたことが苦しいリハビリを頑張る糧になってたらしい。葛城、最後に言ってたよ。事故に遭ってよかった、じゃなかったら今の幸せはなかった、って。だから『これからもよろしくな』って。高校で初めて話したときみたいに笑って、泣きながら謝る俺の肩を何度も叩いてくれた」
「そ、そうだったんですね……。よかった……」
やっと少し声が出るようになった私を見つめて、大地さんが微笑む。
いろいろと片付いたことは昨日のメッセージや今日の葛城さんとの様子でわかっていたけど、私に詳細を話してくれるわけではないかもしれないと思っていながら、それでも気にせずにはいられなかったから。
このタイミングで聞けてよかった。
「うん。彼女のほうには、会わないって伝えてくれって頼んだ。話したいことがないわけじゃなかったけど、葛城にも、なっちゃんにも悪いし、あとから葛城づてに連絡があったんだけど、〝私は別に大地と話すことはない〟んだそうでさ。なんかもう、完全に勘が鋭くなってて、いろいろと見破られてる感がすごかった……」
「ふふ」
思わず笑ってしまいながら、きっとそれは彼女ならではの優しさなんだろうと私は思う。