恋した責任、取ってください。
会っても会わなくても、これは大地さんが自分の力で立ち上がらなきゃならないことだから。
たぶん、そういう思いで、彼女は彼女なりのやり方で大地さんの背中を押したんだと思う。
それから大地さんは、ピンと背筋を伸ばして笑みを深くし、言う。
「チームのみんなにもきちんと頭を下げて、葛城に会ってきたことも伝えて。そうやって一つひとつ片付けて、やっと今、自信を持ってなっちゃんに向き合えてる」
「はい」
「ずっとなっちゃんのことを可愛いなって思って見てきた。小さいのも可愛いし、メガネなのも可愛いし、一つひとつの仕草とか、表情とか、声とか。とにかく全部可愛い。それに、仕事をしてるときのなっちゃんは、めちゃくちゃ格好いい。すごく一生懸命で、一途で、そのどれもに真剣に向き合う姿は、凛と咲く花みたいだ」
「そんな、私なんて……」
「ううん。俺は、そんな花が折れたり枯れたりしないように、盾になって守りたい。俺と付き合うってことは、そういうことだけど……いい?」
「大地さん……」
「覚悟か決まったら、俺の背中に腕を回して」
いいも何も、そこまで真剣に考えて出してくれた答えなら、私にはそれを喜んで受け入れるほか、選択肢なんてあるわけもない。
だって、本当に本当に好きで、どんなときの大地さんだって全部私だけのものにしたいくらい大好きで、生まれて初めて恋をした人なんだもの。
覚悟なんてもう、とっくに決まっている。
「大地さん、好きになってくれてありがとうございます」
背中にそっと腕を回して、その胸の中に顔を埋める。
大地さんの香りがふわりと舞って、再び込み上げてきた涙がこらえきれずに頬を伝っていった。
こちらこそありがとう、そう言って優しく抱きしめ返してくれた大地さんは、真剣な声色の中に少しの気恥ずかしさを含ませながら、私の耳元でそっと囁く。