恋した責任、取ってください。
それでも大地さんは、そんなアホすぎる私の額にもうひとつキスを落とすと、「今日も葛城をけちょんけちょんに負かしてみせるから、会場で見てて」と。
そう言って抱きすくめていた腕を名残惜しそうに解き、玄関の外へと私を送り出す。
「そうだ。くれぐれも俺以外の男と仲良くしないようにね」
すると、ドアを閉める直前、ふと思い出したようにそう付け加えた大地さんが、あからさまに面白くなさそうな顔をして眉間にしわを寄せた。
その台詞と表情から思い当たることといえば、昨日の第3、第4クォーター間のインターバル中のことなんだけど……。
「……もしかして、悠斗くんのことですか? え、だってまだ小学2年生ですよ?」
「あのね、相手の男が何歳だろうと、妬けるものは妬けるの。なっちゃんはもう俺のものなんだから、なっちゃんだって俺以外の男には身持ちを固くしててもらわなきゃ困るよ」
「こ、困るって……」
自分で言うと調子に乗っているみたいでなんだか嫌なんだけど、なんていうか……大地さん、どれだけ私のことが好きなんだ。
独占欲というか、所有欲というか、とにかくもう大地さんが可愛すぎてどうにかなってしまいそうなんだけれど。
「ふふ、大丈夫ですよ。今日は悠斗くん、お友達の家に遊びに行くんだそうで、会場には来ませんから。でも彼、大地さんの大ファンなんだそうですよ? 手作りの応援グッズとか、大地さんのレプリカユニホームとか、将来はブルスタに入りたいっていう夢まであって」
「え、そうなの?」
「そうですよ? だから、サポートチームの立場から言えば、ファンは大事にしてくれなきゃ困ります。きっと10年後はうちの選手なんですから」
「うーん……でも……」
「それじゃあ、もう行きますね。会場で待ってます」
「あああっ、なっちゃん!」