恋した責任、取ってください。
 
そんないじわるな言葉とは裏腹に、それはそれは大事に大事に扱ってもらい、弥生が精魂込めて見立ててくれた下着は、大地さんの手によってゆっくりとベッドの下へと落とされていった。

間近で見る大地さんの裸は、やっぱりすごくて。

でも、いざこれからというときに私をぎゅっと抱きしめた大地さんの心臓は、もしかしたら私のものより早く鼓動を刻んでいるかもしれなくて。


「どうしよう、初めてするみたいに緊張してる……」


そう言って困ったように笑った大地さんは、なんだかとても可愛らしかった。

それからももちろん、大地さんとのお付き合いは順調で、チームのみんなに祝福してもらったり冷やかされたりしながら、今に至る。


佐藤さんと弥生のほうも順調にお付き合いを続けているようで、年明けに佐藤さんに「乗り換えたみたいな形になってすみません……。でも、弥生さんのこと、本当に好きなんです」と謝られたりもしたけれど、ふたりがそうあることに決めたのだから、私からはもちろん、何も言うことはないわけで。

「弥生のこと、よろしくお願いします」と。

そう言って笑顔を作ると、佐藤さんも「はい」と笑って、やけに要領がよくて外交的で明るく、おねだりが上手で姉を手のひらで転がし、でも人一倍寂しがり屋な面もあって結局はすごく可愛い私の自慢の妹のことを、どんと胸を張って引き受けてくれた。


そして、今はというと――。


「大地さーん! 残り10秒ですよ! 一緒にファイナル行きましょうーっ!」


ブルスタと同じくプレーオフ進出を果たしたホーネットとの、プレーオフファイナル進出を賭けた大事な試合の真っ最中で。

最終第4クォーター、残り時間わずかとなって2点勝ち越されてしまったブルスタは、高浜さんからのスローインでボールを受け取った大地さんが、これ以上は行かせるものかとマッチアップしてくる葛城さんを必死の形相で抜こうとしている。
 
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