恋した責任、取ってください。
私の声が届いたのかどうかは、わからない。
けれど大地さんは、残り8秒で葛城さんをかわし、残り5秒でディフェンスに突っ込んでくるホーネット選手の間をかいくぐり、残り1秒でスリーポイントラインの外側でシュートを構え。
そして--。
「入って……っ!」
ビーーーという試合終了のブザーが鳴ると同時に放ったシュートが綺麗な放物線を描いてゴールリングの真ん中をすっと落ち、ブルスタに劇的な勝利をもたらした。
バスケットの専門用語で〝ブザービーター〟と言うそれは、知識としては頭に入っていても、実際に目にすると全然違って。
会場全体から大歓声が上がる中、隣で一生懸命に佐藤さんの応援をしていた弥生や、今度はお父さんも一緒に家族3人で応援に駆けつけてくれた悠斗くんと一緒にしばらく放心していた私は、ようやく現実を把握したのと同時、こちらに向けて両手でガッツポーズをする大地さんに顔をくしゃくしゃにして泣きながら、何度も何度も大きく頷いた。
恵麻さんあたりなら、ツンデレっぽく「ただファイナルに行けることになっただけだから」なんて言うかもしれない。
全国には強いチームがたくさんあって、その中からファイナルへ勝ち進んできたチームは、もしかしたら、ブルスタの力では歯が立たないところもあるかもしれない。
でも、それがなんですか。何度だって向かっていきましょう。
大地さんを、ブルスタというチームを支えるのが私の幸せで、世界中に自慢して回りたいくらいの私の誇りなんですから、もし大地さんが諦めても、私が諦めません。
「大地さーん、今日のご飯は何がいいですかー?」
観客席から叫ぶと、みんなの輪の中心にいた大地さんの顔がこちらを向いた。